QU
1982年冬 
お年玉で買った初めてのLPレコードはQUEENのグレイテストヒッツだった。
木曜日か金曜日の夜にNHK-FMでやっていた渋谷陽一のサウンドストリートのBBCライブで生まれてはじめてQUEENを聞いた。イギリスにクイーンというバンドがいる!しかもちょーかっこいい!と思っていてもたってもいられなくなったが、当然ながら今みたいにインターネットなんて便利なものは存在していないのでその場ではどうすることも出来ないのだった。
もっともっとQUEENを聞きたいぞ。でも聞くためにはレコードを買うしかすべがないが金もない。(確かレンタルレコード店が町に出来たのはその少し後だった)
いろんなことで悶々としながら耐えること数ヶ月。やっと手にしたお年玉を握りしめてレコード屋に行ったのであった。
確か当時アルバム一枚2500円くらいだったと思うが中学生にとってはけっこうな大金なのである。
そんな思いで買ったLPレコードは本当に擦り切れるんじゃないかと思うほど聞きまくった。
ブライアンメイのギターソロはだいたいそらでくちコピできるほど。


とにかくQUEENにはとても思入れががあるのだ。
そんなわけで映画ボヘミアンラプソディーを仕事帰りに見て来た。
相変わらず夜の映画館はガラガラで自分は真ん中より前の方で見るのが好きなんだけど、真ん中より前には自分以外誰も居なかった。
映画の方は悪く言えばありがちなストーリーで、バンドとの出会い、一躍スターに、傲慢さ、派手な振る舞い、メンバーとの亀裂、裏切り、別れ、病に侵され・・・とQUEENの聞き慣れた曲と一緒に一連の流れで進んでいく、数々のエピソードがいまいち深みに届かないし主演のレミなんとかさんは見た目がいまいちフレディーマーキュリーじゃないんだけど、最後のライブエイドの伝説のステージを再現したシーンで僕はなぜか涙が止まらなかった。もう完全にフレディーマーキュリーにしか見えない。

とにかくとてもいい映画だった。

ただ 最後のエンドロールで流れるDon't stop me nowで本物のQUEENの映像が流れるんだけど、やっぱ本物はめちゃくちゃカッコいいのが逆に残念だったりホッとしたりだったので、あれは要らなかったんじゃないかな?